血糖値が高いとき、その3の続きの記事である。
中国人は何でも食べる。鳥なら脚のつま先まで喰べちゃう。そして、食べてまずい物は漢方薬にするらしい。食に対する貪欲さと知恵なのだろう。しかし、そんな気質を病院で少し見たような出来事があった。これは、昔、出会った中国人とのお話し。先方は僕のことを全くもって知らないが、僕は貴方を覚えている(笑)。まるで芸能人とファンみたいな関係。しかし、そんな貴方の行動から、僕は掴み取ったものがある。
血糖値が高い中国人
数年前、いや、もう十年以上は経っただろうか・・あれは月曜日の午前中の病院内で目にした光景だった。混んでいたので、座る椅子すら残ってなかった。そのため立ったまま、血液検査の受診を待っていたのであるが、となりにいたのが中国人。その中国人、どうも血糖値が気になったのか、人目もはばからず、血糖値を測りだした。穿刺器具を取り出し、指先をバチンと刺し、指先からでた赤い血液を測定器のセンサーへ入れた。そして、血糖値が高かったのだろうか。その後、着ていた黄色のTシャツをまくりあげ、インスリンをブスっ。毛の生えていない、ジーンズの上に乗っかった、まさに太っ腹な真っ白の腹だった(笑)注射が終わると、なにも無かったかの様にTシャツをおろした。
素晴らしく手慣れた手つきで、コトをササっと終えた。まさにインスリン依存患者のゴルゴ13だと感じた。しかし、ある問いが僕の脳裏に突き刺さった。
「見知らぬ人前で血糖測定やインスリン注射が、自分には出来るだろうか?」
俺には出来ない・・
だって恥ずかしい・・どんなに頑張っても、血糖値を測るぐらいまでだ。インスリン注射はトイレに行かないと無理だ・・だって人の目がいっぱいある。ジロジロ見られるに決まってる。
しかし、悲劇が襲う。体に染みついた糖尿病のタイマーが鳴っている。ちょうど食後2時間後に差し掛かるころだったのだ。だから、勇気をだして、なんとか人前で血糖値は測定してみた。よしっ、出来た!
しかし、悲劇は続けて襲ってきた。血糖値が300mg/dl以上だった。やべっ、高過ぎる。追加でインスリン打ちたい・・いわゆる、インスリンの追加打ちをしたかった。さあ、トイレに行こう、そう心の中でつぶやいた瞬間であった。たまたま今日の服装がポロシャツとジーンズであることに気づいた。それもポロシャツをジーンズから出して着ていた。あの中国人と同じように気軽に服をまくりあげることも可能だった。
よしっ、こうなったら俺もいっちょ、やってやるか!負けてたまるか!貪欲に治療するんだ!わけのわからない対抗心に火がついて、そのまま人前で腹にブスっ、その後は何もなかったフリをした(笑)。ただ、目はキョロキョロしてしまった。だって内心はドキドキだったから。
中国から来た人、そして学んだこと
あの人のおかげで、僕は、どこにいても血糖値を測れるようになった。たとえ、電車の中でも、人混みの中でも。インスリン注射だって、ジロジロ見られるけど、気にしない。こういう時はインスリンポンプの方が確かに楽ではある。ポケベルをいじるように、インスリン注入や追加打ちができるからだ。わざわざ、腹を出してブスっ、この作業はインスリンポンプでは必要ない。だけれども、インスリンポンプがなくても治療は出来る。そう、ペン型で注射をしている人たちに、こう伝えたいのである。
恥ずかしい・・なんて言葉はどこかへポイッと捨てちゃう
1型糖尿病になって、まだ20数年たらずだが、ある程度の経験を重ねると、怖いものが減ってくる。そう、治療は貪欲にいこう。もちろんトイレで血糖測定やインスリン注射をするのでも、全く問題はない。だけど、いっそのこと、そんな羞恥心はどこかに捨てて、人前でやってみることをお勧めしたいのである。
もし、あなたなりの良い方法やお困りのことがあれば、ご意見ページから是非教えてもらいたいものである。多謝。血糖値が高いとき、その5へ続く・・