(以下のメッセージに含まれるご意見と、あなたの担当するドクターのご意見が食い違う場合は、担当するドクターのご意見を間違いなく最優先して下さい:1型糖尿病と学びながら)

性別:女性

年齢:30代

題名:起床後の高血糖について

メッセージ本文:

つい最近あなたのブログを見つけてから、いくつか記事を大変興味深く読ませていただきました。
私は糖尿病一型歴2年のまだひよっこですが、この2年で私なりに理解したことや経験したを伝えたいなと思い筆をとりました。

起床後の高血糖の傾向、私にもあります!
ベッドの中で100前後であっても、身支度をしているうちに15分後には130、1時間後には180程になります。なので、おきて30分後くらいを目安に超速効性インスリン、少量打ちます。1,5位、或いは起床時に既に高め(130以上)だった時は2単位です。起床は6時半、インスリン7時、8時勤務開始(座り仕事です)、9時ごろ朝食、とういう流れですが、9時ごろには100前後におさまってくれます。

続きを書く前に、私の病歴について少しお話させてください。

実は私、ドイツに住んで15年になります。
一型糖尿病を発症したきっかけはおそらく、2年前の日本へ里帰り中にかかった、激しい嘔吐をともなう感染症です。ドイツに戻ってから一ヶ月して体の異常に気づき、診てもらった病院で一型糖尿病と診断されました。以来入院と一週間の集中セミナー(1型2型を問わない、要インスリン患者のためのセミナー)、その後の治療もすべてドイツで受けています。

1型糖尿病の存在は、実は発症前は知りませんでした。(間違いなくドイツ語で耳にしていたはずですが、理解はしていなかったと思います。)ですが、確証はもてませんが、ドイツにおける一型糖尿病の認識は日本のそれよりずっと高く、さらに一型糖尿病患者の割合も日本にくらべて大分高いのではと感じています。

私は友達は決して多いほうではないのですが、殆どの友人から家族や親戚、或いは知り合いの家族に一型の人がいる、なんて話をよく聞きます。多くの人にとって珍しい病気であるには違いないのでしょうが、テレビの中だけの話、というわけではないようです。

そういう背景があるからか、カーボカウンはドイツでは大分前から(いつからなのかは定かではありませんが)導入されているようです。余談ですが、1カーボは炭水化物12g(10gとして計算する場合もあり) = 1BE といいます。BE は Brot-Einheit の略で、直訳すると「パン単位」となります。

話がそれましたが、起床後の高血糖について続けますね。どうやらこのタイプの人は珍しいようです。私の先生にも首をかしげられました。寝ている間に、朝方血糖値が上がっていく「暁現象」に悩む患者さんはどうやら多いようですが。

起床後高血糖の原因を探っているときに、「起床現象」なる記事を見つけました。南ドイツ Althausen にある糖尿病センターの監修するサイトに、主にインスリンポンプで治療している人に向けていくつか記事が掲載されていて、これはそのうちの一つです。
以下、ドイツ語なのですが一応リンクを張っておきます。

http://www.chrostek.de/private-mitschriften/insulin-zum-aufstehen.html

簡単にまとめてしまうと、このタイプの人には起床後に少量の(0,5~4単位)の即効型インスリンを打って対処することを薦めています。(一日のインスリン総投与量が20~80単位、および体重70キロの場合)

これをしない場合、その後6~8時間もの間インスリンの効きが悪くなり、高血糖になりやすい、とのことです。

これをしないで、朝食の時により多くのインスリンを打って対処できそうな気もしますが、ここからは私の意見ですが、朝食前にすでに高血糖になっていると、打ってから食事開始まで大分(15分以上)待たないと、300に到達するのもスグですよね。かといって待ちすぎると低血糖の危険がある。これをふまえて毎朝投与量と待ち時間を考えるのは、ちょいと面倒な気がします。個人的には、起床後に少量うって朝食前に100前後にすることで、その後の血糖値の動きもだいぶ安定するようになりました。

ここからは朝にかぎらず、日々の高血糖時の話しになります。高血糖の状態が長く続けば続くほど、あとから打って落とそうにも、なかなか落ちないことが多い気がします。食後4~5時間で高血糖に気づいたときは、結構苦労しますし、風邪のときにはますます厄介です。なるべく早めに対処するのが、高血糖から早く脱出するよい方法に思います。

高血糖の原因の一つとして、ストレス状態、つまりアドレナリンの分泌もあげられると思いますが、あなたの高血糖の原因はそれでもなさそうなのですよね?怒りや興奮を覚えた後だったり、運動の後でもないのでしたっけ?

上にあげたサイト内に、”Up-and Down-Regulation” という記事があります。難しくてうまく説明できませんが、インスリンを受け止める、受容体なるものが増えていく時期(up の時期でインスリンの効きがよい)と反対に受容体が減っていく時期(down、効きが悪く高血糖気味)の時期があり、常にその間をいったりきたりしている、という内容です。

Down期に陥りやすいのが、頻繁なインスリン追加でさらに受容体が減り、高血糖の渦にはまるという悪循環です。そこから抜け出す方法は、思い切ってインスリン量を減らし、そして受容体が再び増えてくる(up 期)のを促すことらしいです。勿論、インスリンをただ減らすして高血糖状態を放ってはおけませんので、食事(炭水化物)を減らしたり、運動をとりいれる必要があります。

運動・・・結局ここへ繋がるんですね~

最後にもう一言。「インドカレーと血糖値」の回を読みました。普通のカレーライスでは問題ないのに、面白いですね!私の場合は、ごはんを食べるとどうしても急上昇するので、普段はご飯をさけているのですが、たまにタイカレーを食べに行くときにはガッツリ投与します。

でもそれでも足りずに、食後4時間後400を超えていてビックリしたことがあります。おそらく、油やたんぱく質のためにあとからグングン上ったのではないのかなと思います。でもそれも、想像するしかないのですが。

高い数値をみてとっさに思うことは、「え~?!じゃ、一時間前はもっと高かったの?それとも逆に後から上ったの?」ですかね。そして何がいけなかったの?その真実が知りたい!と今は思います。半年前はそう考える余裕がなくて、テストで赤点をとって悔しいような恥ずかしいような、悲しいような気持ちになったものです。

そういえば、他の一型糖尿病の方にメールをするのは今回が初めてなんですよ。あれもこれもとお話したくなって、まとまのない文章になってしまいましたが、この辺で失礼します。

回答:
体験、ならびにご意見を頂きありがとうございます。

起床してから血糖値が高くなることは僕だけでなかった、という事実を知ることができました。あなたは起床してから約30分後に超速効型インスリンを打つ。そして、朝食前のあなたの血糖値は安定している。

ドイツで1型糖尿病を発症し、ご苦労が絶えなかったことと推察します。おそらく、あなたの1型糖尿病は、劇症1型糖尿病と日本では呼ばれているものではないか、と僕は感じました。そして、ドイツの1型糖尿病の有病者数は、日本の有病者数よりも多いです。

ドイツのカーボカウントの計算は、だいたい1カーボ12gとして計算するようですね。それもパンを基準にして。アメリカのパンだと、ひとつがだいたい15gだから、アメリカは1カーボ15g、という話しを聞いたことがあります。リンクして頂いたサイトも拝見致しました。ドイツ語が難しくて、ほとんど理解ができませんでした。

あなたは、ドイツ南部のアルツハウゼンにある糖尿病センターの監修するサイトを信頼した。そこで、あなたなりの対処法を見つけられたのは、とても良かったことです。情報を発信しているところ、に着目することはとても大切だと僕も思います。ただ、インターネットのサイトは本や医学の文献とは違い、書き換えや削除ができますので、過信は禁物だとも考えます。この「1型糖尿病と学びながら」というサイトも同じです。

私の高血糖の原因は、怒りや興奮、運動、どれも当てはまらないように感じます。しかし、それは同時に、どれも当てはまりそうだ、ということにもなると思います。なので、どれが一番強い影響を血糖値に及ぼしているのか、僕は知りたいと思っております。前回の記事、理由なき高血糖でご質問頂いた方も、おそらく同じように感じていらっしゃると思います。

インスリン受容体について。あなたの文章から僕は以下のように解釈しました。

体の中にはインスリン受容体というものがある。受容体が多いと、インスリンの効きがよくなる。反対に、受容体が少ないと、インスリンの効きは悪くなる。受容体が少ない時に、インスリンを注射すれば、インスリン受容体はさらに少なくなる。つまり、打っても打っても下がらない高血糖になる。

だからインスリン受容体が多くなるようにする。その目的の達成には、インスリン量を減らすことが必要不可欠である。しかし高血糖にはなる。だから、食事を減らして、運動を取り入れなければならない。

もし、僕の解釈が正確ならば、どうやって、インスリン受容体が多い時と少ない時を見極めるのか、が気になります。かなり複雑だと感じます。

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