今回から、食事について書く。その前に・・僕が読んだ記事について書こうと思う。ちょっと悲しい記事である。Diabetes Careという定期刊行物はご存知だろうか。恐らく、1型糖尿病の医学の最先端をいくだろうアメリカで、アメリカの糖尿病学会(American Diabetes Association:通称ADA)が発行している医学文献のジャーナルである。
そのDiabetes Careの昨年の6月号(June 2015:volume38|number6)のp968に、アメリカでの1型糖尿病治療の結果が書いてあった。前回お話ししたリアルタイムCGMの最新モデルや、インスリンポンプなども最新モデルがずらりと並ぶアメリカでの、HbA1cの結果だった。1型糖尿病である僕は、その記事を見てちょっと悲しくなった。
さて、そんなことはさておいて、今回からは食事について。まず食事のことをお話しする前に、僕のスペックについて語る必要がある。なぜかは、後述。
体重:60kg〜63kg
最高のHbA1c:9.9%
最低のHbA1c:5.5%
現在のHbA1c:7.3%
三大合併症:いまのところなし
上記は、だいたい20年近くの僕の身体的結果である。そして僕の体重は、ここ20年くらいで全く変わっていない(笑)。自慢でもなんでもないけれど、いわゆる標準体重。恐らく、体重を減量しなくてはならないために、Drからカロリー制限を受けている1型糖尿病患者さんもいるとは思うし、その逆に、体重を増やさなければいけない1型糖尿病患者さんもいるとは思う。そう、いろいろなタイプの1型糖尿病患者さんがいるってわけである。若い人もいれば、高齢の人もいるし、女性もいれば、男性もいる。
つまり、これから僕がお伝えする食事については、標準体重の僕がやっている食事療法の1つの事例であることを忘れないでほしい。Drからカロリー制限をされているならば、Drの言うことを、まず先に、絶対に、必ず、聞いてほしい。その上で、これから書く記事を読んでほしい。いいですね。
では、本題に移ります。前回の記事で、僕の1型糖尿病治療で最低限必要なこととして、血糖値の測定、食事、インスリン注射と書きました。その中でも、僕が、一番大切だと思っていること。それは、
血糖値の測定
です。ただ、血糖値の測定をしたところで、血糖値は下がりませんし、血糖値の測定をしたところで、HbA1cも良くはなりません。大きく意見が別れるところだ、とも思います。
ではなぜ、血糖値の測定が一番大切だと僕は思うのでしょうか。
それには僕の1型糖尿病への過去を書かねばなりません。
1型糖尿病という病いですが、発症したての頃の僕は緊張のあまり、1日4回の血糖測定をしっかりやっていました。けれど、1年、2年と経っていくうちに、病気にも慣れていって、自分の体内血糖測定器を信じる傾向になりました。つまり、血糖測定などしなくとも、なんとなく感覚でわかる、というわけのわからない自信を僕は持つようになりました。
その結果、1日の血糖測定はどんどん、どんどん、少なくなっていきました。そして・・
食後の低血糖
の存在に僕は気づくこともなかったでしょう。食後に起こる低血糖は、正直、低血糖症状も僕はあまり感じたことはありません。
だから、1年に2〜3回ぐらい、食後に血糖値を測って、初めて、低血糖を起こしているのだ、ということに気が付きました。つまり、食後の低血糖とは、食べた食事の量と、インスリンの単位(量)が合っていないから起こる現象です。
そのため、今は、血糖値の測定をこまめにやっています。そして、残念ながら、1型糖尿病を30年抱えた僕は、60mg〜70mgという初期の低血糖症状(冷や汗みたいなもの)が今は全く起らなくなってしまいました。だから、1日、最低でも4回、必ず血糖値を測定しています。できるだけ、高血糖を見逃さないように、そして、低血糖も見逃さないように、です。ですので、僕は、僕の1型糖尿病治療で、インスリンよりも、食事よりも、まずはこの血糖値の測定が最も大切だと考えています。