ひたすら、太ももへ注射すること6ヶ月。多少の血糖値の乱高下はあったものの、腹部と比べて、平均血糖値はほとんど変わらなかった。つまり、HbA1cもほとんど変化していないこととなる。
ただ、異変が起きた。
僕は6ヶ月が経っても、今までインスリンを打ったことがない左足の京都市伏見区に注射したり、今度は右足の埼玉県入間郡に打ったりしていた。同じ場所には打たないようにと、インスリン注射を続けていた。しかし、僕の努力も虚しく、1週間の平均血糖値は急激に上がりだした。まさに、青天の霹靂。
1週間の平均血糖値は、およそ190mg/dlに跳ね上がった。今までの6ヶ月間は、だいたい150mg/dlぐらいのに・・そして、もし1週間のHbA1cの値というものがあるならば、150mg/dlから190mg/dlなので、だいたい1%は上がったことになる。それでも、僕は、いつかは下がるだろうという期待も込め、太ももへ打ち続けた。しかし、下がらなかった。いや、下がらないばかりか、
このまま、もっと上がり続けるのではないだろうか。
という意識すら覚えた。そして、上がり続ける7日間の平均血糖値は、当たり前のように14日間、30日間の平均血糖値も徐々に押し上げていった。行動で、何かを変えたことがあったのだろうか、と僕は思った。
この6ヶ月間で、僕は・・
食事もほとんど変えてない。
運動もいつもどおり(ほとんどしていない)。
おまけに酒も飲んでいない。
いろいろ血糖値が上がる要因を探しては見た。けれど、見当たらなかった。
最後に疑ったのは、太ももだった。そう、注射部位。細かい医学的な原因など、まったくもってわからない1型糖尿病患者。ただ、長年の血糖値への勘みたいなものはある。1週間ぐらい続く高血糖という結果から推察すれば、ふたつの仮説が心中をかすめた。
あくまで1患者の仮説だけれども・・
一つ目は、ひたすら6ヶ月注射を太ももに打ち続けて、僕の日本地図(ふともも)はインスリンの洪水になってしまったのではないだろうか。
つまり、僕の日本全土はインスリン浸しになってしまい、インスリンの効き目が悪くなってしまったのではないだろうか。
もう一つは、体がもっている機能(なんの機能かはわからないけれど)が、高血糖にさせているのではないだろうか。例えば、何かのホルモンが大量にでて、血糖値を上げているのではないだろうか。
当たっているかどうか、まったくわからなかった。だけど、そんなことを考えながら、僕は、インスリン浸しになってしまったであろう太ともへの注射を一旦中止した。
それで、血糖値が再び、元の状態に戻るならば・・6ヶ月に渡る注射により、インスリンの効きが悪くなって、高血糖になる、ということもまんざら嘘ではない、と思った。
そして腹へ注射を開始した。インスリンの単位(量)もほとんど変えていない。そうしたら面白いように、血糖値は下がりだした。いや、正確に言えば、気持ち悪いぐらいだった(笑)。
僕のわけのわからない仮説が、ちょっとだけ的をかすめたようで嬉しかった。僕のケースに限ったことだけど、僕の太ももはもう使えない・・と僕は思った。太ももが回復するまで・・。
太もも、ありがとう・・
こんなに僕から感謝されるのは、きっと太ももは初めてだろう・・
そして高血糖の原因は本当にいっぱいあるように思った。僕には、まだまだ解決できていない疑問がいっぱいあるのだ。
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