1型糖尿病になると、やたら不安でしょうがないのが三大合併症と言われる糖尿病性の合併症である。
糖尿病になると目が見えなくなる(糖尿病性網膜症)
糖尿病だったあの人は、足を切断した(糖尿病性神経障害)
糖尿病だった私の知人は、人工透析を受けている(糖尿病性腎症)
医師や看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士
というプロフェッショナルな人たちでない人たちからこういう情報をよく聞く。ただでさえ、社会に適応できるか不安な1型糖尿病。そんな病いを抱えていれば、こういう情報で余計に不安になったりもする。
これら情報の「原因」と「結果」は、確かに間違いはない。しかしながら、プロフェショナルな方たちならば、きっと以下のように言うに違いない。
糖尿病になると目が見えなくなる、は
糖尿病になると、糖尿病じゃない人に比べて、目が見えなくなる可能性が高い
になるだろうし
糖尿病だったあの人は、足を切断した、は
糖尿病だったあの人は、HbA1cの悪化が原因で、足を切断した
という具合にもなるし
糖尿病だった私の知人は、人工透析を受けている、は
50年ものあいだ糖尿病を抱えて、あの患者さんは今、人工透析を受けている
という説明にもなるはずである。
この説明の違いは何か?
それは、糖尿病という「原因」と、糖尿病によって起こる可能性がある「結果」とのあいだにある「経過」をよくご存知だからである。だからプロフェッショナルなのである。
それと、糖尿病の3大合併症以外にも、忘れてならないのが「動脈硬化」である。動脈硬化のリスクとして3つ言われているのが、「高血圧」、「高脂血症」、「糖尿病」である。悲しいけれど、僕は、既に、高脂血症と1型糖尿病を抱えていて、薬による治療を行っている。そのおかげからか、30年糖尿病を抱えた今でも、そしてタバコをやめていない今でも、動脈硬化はまだ進行していないようである。
動脈硬化
そして、この動脈硬化においては、今、話題になっていることがある。それは新薬である。その薬は1型糖尿病の治療薬ではないけれど、2型糖尿病の治療薬である。
アメリカでは、薬を承認するFDA(Food & Drug Administration)という機関がある。そのFDAでは、実に厳しい審査が行なわれているらしい。今回、2型糖尿病の新薬で言うならば、糖尿病治療の効果と動脈硬化との関連性について徹底的に調査がされているようである。
実は、現在、1型糖尿病の治療で普及が進んでいるインスリンポンプ(日本で使える最新型のインスリンポンプはSAPと呼ばれるものだろう)に関しても、同様のことが言えるように思う。世界では、種々雑多なインスリンポンプが発売されているのだけれど、インスリンポンプの機能は、各国によって多少違うから面白い。
日本のポンプでは使えなくなっている機能
があったりするのだ。調べていけば、これが実に面白い。そして、機能の違いから、世界各国のいろいろな医療事情を垣間見れる気がするのは僕だけだろうか。普段の診察で、Drという立場の先生達が、何気なく行っているように見える行為の裏側には、大変重要なものがいっぱい隠されているように思うのである。