先日、買い物から帰るときのことだった。近くのスーパーで食料品を買って、借りていたDVDを返し、家路につくときに起こったことだった。

めまいの感覚にとつぜん襲われた。クラっとする感覚はずっと続いた。まるで立っている地面は左右の横方向に揺れはじめて、自分の体の平衡感覚がなくなったようだった。まっすぐ歩くのも至難の技だった。

その上、自分のやっていることが自分でもわからなくなってきた。わかることは自分の意識がどんどん薄れていることだった。そして僕の挙動はどんどんおかしくなった。考えらるのはただひとつ。そう低血糖の発作だった。

普段なら空腹感などの症状が出てきてから、挙動不審になるのが僕の低血糖のプロセスだ。空腹感は大切な低血糖の信号である。しかし、残念ながら空腹感は全く起こらずに、なんの前触れもなく、低血糖はいきなりやってきた。

血糖測定器は持ち合わせていなかった。ただ、この挙動不審な状態と目が眩んでいくような状態から、間違いなく低血糖だとはわかった。

ジュースを飲まなければ・・しかしジュースが手元にはなかった。そして低血糖の昏睡はすぐそこまで迫っていた。

僕がいた場所はコンビニエンスストアの前だった。買おうと思えば、ジュースだって買える。ジュースを買わなくては・・混乱する頭で、僕はコンビニエンスストアの自動ドアを開けた。そしてジュースが売っている棚に辿り着いた。しかし、ショーケースに並んでいるジュースを取ることは出来なかった。そして、何も買わずにコンビニエンスストアを出て、僕はそのまましゃがみ込んだ。

まずい、倒れそうだ・・

混乱しながらも、僕の頭は少し回転した。

このまま倒れてしまうなら、コンビニの店員に何か伝えておいたほうがいい・・低血糖だってことを。

僕は飛びそうな意識を感じながら、またコンビニに入った。しかし、店員に何かを伝えるほど、糖分は脳みそに残されていなかった。ただ、なんとかしてジュースだけは買った。糖分のいっぱい入っているジュース。

一目散にコンビニを出て、すぐにそのジュースを飲んだ。炭酸がたくさん入っているジュースだったけれど、一気飲みをした。しかし、あの不快な挙動不審の状態がいまだに続く・・そして目の前はどんどん暗くなっていく・・

早く上がってくれ、僕の血糖値!

神に祈るような気持ちだった。血糖が下がれば、バタンと倒れ痙攣を起こして救急車。血糖が上がれば、何事もなかった様に歩いて家に帰る。2者択一的な結果が残されているのみだった。次回に続く・・

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