自宅から歩いて数分のところに、30年前からあるラーメン屋がある。ラーメンの値段は590円。30年も経つというのに、味が全く変わっていないと僕は思う。昔ながらの「しょうゆラーメン」だ。
この記事は「昔ながらのしょうゆラーメンの炭水化物は・・」というような実用的な記事ではない(笑)。常に、普通に、真剣に、食事の炭水化物量ばかりに気を取られてしまえば、うまい食事もまずくなる。麺だけをフォーカスして食べるラーメンは、ぎこちない。
あの店のラーメンはなぜ、うまいのか。
近所の、昔ながらのしょうゆラーメンはなぜうまい。そこには、麺がある。スープがある。ねぎがある。チャーシューもある。ほうれん草もある。さまざまなものがあるから、あのシンプルなラーメンはうまいのだ、と1型の僕の脳みそは言う。
そういえば、忘れちゃいけないものが、もうひとつある。
ラーメンのうつわ
これも、うまいまずいに関係している。いわゆる食事をするときの食器だ。忘れそうだった。そういえば、もうひとつ忘れていたことがあった。
ひとりで食べるよりも、皆で食べること
これもうまいまずいに関係している。いままで、アジア、ヨーロッパを旅したけれど、どの家庭でも、皆で一緒に食事をしようとする。それは、人類が、経験の上で、身につけた、習慣なのかもしれない。ひとりで食べるよりも、皆で食べたほうが食事はうまくなる、と僕らの先祖たちは考えたようだ。
言い換えれば、食事は、食事そのものだけでなく、いろいろなものが複雑に絡み合うから、うまくなる。それだから、食事そのものを、うまいまずいと評価するのは本当に難しい。実に難しい。ラーメンで言うならば、うつわや雰囲気には惑わされずに、ただただ、そのラーメンを評価する。食事そのものだけ評価できる人を、僕はプロフェッショナルと呼ぶ。
プロフェッショナルの味見の仕方は・・じつに独特だ!
プロフェッショナルでありたい・・
僕も1型糖尿病患者のprofessionalでありたい・・すなわち、ラーメンそのものではなくて、僕の血糖値をうまく管理したいのだ。だけど、血糖値だけを見つめていてはダメだ。
血糖値のつながりとも言うべき、HbA1cも血糖値と同じくらい大切だ。血糖値とHbA1cの良し悪しは、食事そのもののうまいまずいなのだ、と僕は思う。
では、うまい、まずいを決めるのは何だ
ラーメンでいうところの麺は、インスリン療法のことか。いや違う。麺は炭水化物だから、食事療法だ。じゃあ、チャーシューは、運動療法か。刻んであって、ちょこんと乗せてある、あの白いネギはいったい何なのだ。もっと脇役の、すぐに忘れられてしまいそうな、あの黒いコショウはいったい何だ。僕はラーメンをすする。
やっぱりうまい。まあ、いいや、うまければ。
おまけに価格は590円なのだから。
そういえば、価格もラーメンのうまいまずいに影響しているのだろうか。アホンダラな僕の脳みそは限界になる。そして、昔ながらのしょうゆラーメンの炭水化物量を69.9gと推定して、カーボカウントで計算した7単位の超速効型インスリンを、混んでいるラーメン屋のカウンターで、食事の前に、人にはバレないようにコソコソと、かなり面倒ながら、僕は体に入れる。
あとのことは、インスリンが何とかしてくれるだろう、きっと。