思い返せば、ちょうど1年前の8月10日。僕は、完全に意識を失って、病院のベッドの上に寝ていた。意識が戻ってきたのは1週間後からだった。意識が戻った瞬間は、自分が誰で、どこにいるのか全くわからず、なぜだかすごい焦燥感に襲われた。この焦燥感については、後に精神科のDrに聞いたところ、脳の自然的な反応、ということだった。
おまけに、もともと、63kgあった体重は、意識を喪失してからは45kgまで落ちた。身長175cm、体重45kg。
「あなたの体重は、私の体重よりも軽いわ、ははは」
と身長155cmの家内は僕に言う。
「そりゃ、軽くなったよ、だって生と死の境いを彷徨っていたのだから」
と僕は控えめに言った。
喫煙と禁煙
ただ、1週間ものあいだ意識を失っていたおかげで、僕はタバコをすんなりと止められた。いままでニコチンガムを買っては禁煙にチャレンジしてきたが、悉く失敗に終わった。だいたい2ヶ月後ぐらいには再喫煙を繰り返していたのだ!
2ヶ月我慢したあとに吸うタバコのうまいこと。
この快感を脳みそが覚えてしまったら忘れることなど、そう簡単にできるわけがなかった。だから僕は何度も禁煙に失敗したのだった。また、僕には言い訳もあった。
「1型糖尿病のストレスなのだからしょーがない」
そのストレスの捌け口に吸う僕のタバコの本数は1日40本以上超えていた。周りの人からも、僕は絶対タバコを止められない、と太鼓判、いや烙印を押されてきた。けれど、幸か不幸か、あの意識喪失以来、まったく吸わなくなったのだ!
そして、その禁煙もようやく1年続いたことになる。不思議だったのは、この1年ものあいだ、タバコを吸いたいと思ったことが全くなかったことだ。昔だったら、落ちているタバコでさえ、拾って吸いたかったタバコなのに(笑)。けれども、タバコを吸っている夢は何度か見て、深夜に起きたことは何度かあった(笑)
禁煙の反動からなのか。それとも痩せすぎた体重のリバウンドからなのか。45kgの体重がみるみる増えて、今や75kg近辺をウロついている。1年でなんと30kgも増加してしまったのだ!もし、僕の知り合いでこんなに体重が増えたやつがいたら、僕は間違いなく「糖尿病に気をつけなよ」と言っているに違いない。