時代の流れというべきなのだろうか。 30年以上前、つまり僕が1型糖尿病になった頃の血糖管理と言えば、血糖測定器というよりも、むしろ尿糖試験紙が在宅での糖尿病の血糖管理の役割を果たしてきた。

当時から、糖とタンパク、ケトンが測れる試験紙が毎月の診察で処方されていた。いつも、自宅のトイレで、その試験紙をボトルから出して、おしっこにひっかけては色が変わるのを待った。

ケトンやタンパクはいつも陰性だったけれど、尿糖だけは陰性でないことが多かった。血糖値がだいたい170mg/dLを超えると、尿に糖がでると言われているから、僕の血糖値はだいたい170mg/dLを超えていたはずだった。

そんな僕は、1987年に1型糖尿病になったけれど、池田義雄先生のお話しによると、血糖自己測定は1986年に健保適用になった。

2. 血糖自己測定の健保適用(1986年)

出典 dm-net.co.jp

今の糖尿病診療では、血糖測定器は当たり前のように普及し、当たり前のようにインスリンを注射している患者は、在宅で簡単に血糖値を測れるようになっている。

そして、血糖自己測定の健保適用から約30年後の2017年。今度は血糖値が点ではなくトレンド(線)で測れるようになったFGMと呼ばれるフリースタイルリブレが登場し、そのリブレが保険適用になった。

血糖値がグラフでわかるリブレを使っていると、あまりの便利さに徐々に手放せなくなってきている今の当方。その上、やたらと血糖測定の回数も減ってきているのだ。多い時には1日10回くらい測定していた血糖値だったけれども、リブレの登場で、いまでは低血糖かな、と思ったときに1、2回測る程度になった。

なんども言ってしまってフリースタイルリブレには失礼だが、血糖測定器に比べればリブレの血糖値は正確ではないかもしれないが、血液を出す面倒から解放してくれるのは本当に嬉しい限りだ。

これから、30年後の1型糖尿病の治療はいったいどうなっているのだろう。その時に、70歳を過ぎた僕は、果たして生きているのだろうか。ただ、やはり見てみたい。そのときの1型糖尿病の治療がどうなっているのかを。

古くなったものを僕は徹底的に活用するのも好きである。そして、高度な医療機器も使いこなせる老人にもなって、僕はHbA1cを下げ、長生きするのである(笑)。

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