僕は一人の1型糖尿病患者である。インスリン治療は30年くらい続けてはきたけれど、いまだにインスリンの単位には悩まされる。カーボカウントの習得で、今までよりは正確なインスリン単位は掴めたつもりだけど、それでも血糖値は乱高下する。
カーボカウントの前は
インスリン依存型の僕にとって、1型糖尿病と暮らした経験値は治療のよりどころである。例えば、低血糖の場合は冷や汗が出るとか、このカロリーの食事ならば、この単位を打つ、そんな経験から得たインスリン単位は自分にしかわからない。
そういう風に生活を送っていたもんだから、自分の経験値が全てであり、そのなかでインスリン単位を決めていた。
インスリンポンプとの出会い
そんな中、インスリンポンプと出会った。最初の出会いは2006年、装着してHbA1cは一気に下がったから、運命と呼びたいほどの衝撃的な出会いだった。200mg/dlをオーバーする血糖値はほとんどなく、食事をしてさえ150mg/dlを切る、そんな食後血糖だった。まさにそこはインスリンポンプワールドであり、HbA1cは6%未満の未開拓地に足を踏み入れた。
そんな未開拓地を経験しながら、暇な入院生活でポンプの取扱説明書を何度も読んだ。
ボーラスウィザード
意味もわからない横文字が取説には書いてあった。暇な入院生活も重なって興味はそそられた。調べてみれば、インスリン単位を決めるための道具みたいなものだった。そんな魔法の道具も使ってみたくなって、ワクワク、ドキドキしながら、カーボの本を買った。そして慣れないカーボのお勉強を始めたのだった。
カーボの本にも衝撃を受けた
今まで自分の経験値を頼ってインスリンの単位を決めていたもんだから、読んだときはしびれた。
えっ、インスリン単位って、計算すればわかっちゃうの・・
自分の頼っていた経験値は粉々に砕かれた。そして自分の経験値を疑った。大変ショックな出来事だったけれど、それからはきちんと血糖値も測るようになった。高血糖や低血糖の長年の感覚、そんな経験値も砕かれたからだった。
そんな中、カーボのお勉強もだいたい終わって、ボーラスウィザードの機能も使えるようになった。カロリーではなくて、炭水化物へフォーカスする自分に変わった。インスリン単位も楽チンに決めることができた。
インスリンポンプは外したけれど
カーボカウントは、今もお世話になっている。ボーラスウィザードの機能は、今じゃ僕の少ないメモリーが取って代わった。どんどん古くなっていくメモリーで、あまり早くは計算できないけれど、いまだに単位数はカーボに頼る。
カーボカウントの先生、ありがとう!
この世界で大変かと存じますが、更なる発展を願いまっす!
一人のカーボカウンターより