1型糖尿病の治療でインスリンポンプを付けて久しい。最初のころ、今までの注射による治療とはやり方が違う点に苦慮した。たとえば、体とインスリンポンプとは細いチューブ(以下、クイックセット)で繋がっているけれど、そのクイックセットをドアノブに引っ掛けてしまって、外出先でポンプが外れたことがある。こうなってしまうと、外出したときに新品のチューブを持っていない限り、自宅に戻らなくてはいけないはめになる…
そういう失敗を何度か繰り返しながらも、ポンプを初装着してからかれこれ10年以上が経つ。
食事のたびにインスリンを注射する必要がない!
食事のたびに注射するのは面倒だ。これは、インスリンポンプを付けてみると実感する。インスリンポンプを一度体へ装着(このときだけは注射をする)してしまえば、食事のたびに席を外して、トイレに行って、お腹に針をさしてインスリンを注射する必要はなくなる。
インスリンポンプの本体は、ちょうどポケベルぐらいのサイズで、このデバイスにインスリン単位数だけ入力すれば、インスリンは注入される。これだけでおしまい。
こうなると、いままで当たり前のようにやっていた食前注射が、本当に面倒に思えてくる。
最初の数年は、HbA1cも7%未満
いまでごそ、だいたい7.5%ぐらいであるけれど、ポンプを導入した最初の数年は7%未満だった当方のHbA1c。しかし、その後の数年で、HbA1cが上がってしまった時、何度かインスリンポンプを外して、従来のインスリン注射(インシュリン)に切り替えたことがある。
切り替えた際に、インスリンポンプ時と注射の時のHbA1cの差を比較してみたが、平均してみれば、その差は本当に少なかった。ポンプから注射へ、また注射からポンプへ切り替えた直後には、HbA1cが改善されるのだが、少し経つとそれもまた落ち着いてしまう。つまり、僕の場合は、インスリポンプだろうが注射だろうが、たいしてHbA1cに差がないのだった。だけれど、インスリンポンプ療法の方が、全体的に見れば、暴れ馬を想わせるような1型糖尿病の僕の血糖値を落ち着かせてくれていたので、僕は今でもポンプ療法を選んでいる。
その上、今ではフリースタイルリブレのおかげで、指から血を出さずに血糖測定できる点も魅力的である。ポンプと合わせて使えば(もちろんポンプには24時間血糖測定してくれるCGM付きのものはあるけれど)、トイレに行く必要もなくなるし、すいません、と断りを入れて指から血を出す必要もない。
ただ、インスリンポンプの良さは、人それぞれ違うはずだし、デメリットもしかりである。上記は、僕の率直な意見であるが、インスリンポンプを導入したい場合は、主治医の先生に相談してみるといい。