インスリンポンプを初めて導入したときのこと。インスリンポンプへの期待と、低血糖への不安が入り乱れながらのインスリンポンプの導入だった。慣れるまでに1ヶ月くらいの時間はかかったけど、慣れたら超便利なデバイスに変わった。
インスリンポンプのメリット
最近、よく新聞でも取り上げられている。患者さんから見たインスリンポンプのメリット、デメリットの記事である。人前でインスリン注射をしなくていい、風呂にも入れる、など患者さんによって様々なメリットがあると思う。
おまけに最近のインスリンポンプはリアルタイムのCGMのおかげで血糖値の変動も見ることが出来るようになった。そんなわけだから、インスリン注射に頼る患者さんは、インスリンポンプを夢のようなデバイス(医療機器)に感じてしまうのではないだろうか。
インスリンポンプの真価
僕は約8年間、インスリンポンプにお世話になった。食事の際も、わざわざトイレに駆け込む必要はなくなって、便利だなあと感じた。
しかし、振り返ってみると、インスリンポンプの価値はもっと深いところに眠っているのではないだろうか。インスリンの注入が楽になった、という患者の生活の質(Quality Of Life)以外に、僕の場合はインスリンポンプでHbA1cが大きく下がったことだった。
HbA1cが未知の領域
インスリンポンプを導入したての頃、HbA1cは一気に5.5%に下がった。導入まえは7%〜9%をうろついていたから、鳩に豆鉄砲の状態(笑)。いや、もっと正確に言えば、インスリンポンプによってHbA1cの自己新記録を樹立し続けたから、驚愕に近かった。
いまはわけあって、インスリン注射に切り替えたのだけど、さすがに5.5%は無理である。
なぜ無理なの〜?と問われれば
持効型インスリンと比べると、インスリンポンプのBasalの機能は明らかに優れていると感じているからだ。インスリンポンプでは気持ちのいい血糖値、それは70mg/dl〜130mg/dlを低空飛行する血糖値を体感できるからである。
なぜ、気持ちのいい血糖値になるのか?
一番の要因はインスリンポンプのBasal機能だ、と決めつけている。インスリンポンプは持効型インスリンを使わず、超速効型をちょこちょこ体内に入れている。このちょこちょこ注入がHbA1cを下げる優れた効果になっていると推測する。
持効型インスリンでは真似は出来まい。細かいセッティングは単位数の変更だけしか出来ないから、これはしょーがない。いや、持効型インスリンのデメリットよりも、新聞記事ではあまりテーマにならないインスリンポンプのBasal機能がもっと褒められてしかるべきである。
いまやインスリン注射に戻して、悪化していたHbA1cは少し回復した。しかし、7.0%を切るのは不可能と思えるのである。目標に邁進すれば、低血糖が顕著に増加し、恐れおののいてしまう筆者なのであった。